地下の国へ行った弟
屋久島の民話に、「地下の国へ行った弟」というものがあります。
おもしろいので紹介しますね。
むかし、むかし。
ある村で、兵児侍たちが、毎朝、弓をひいたり刀のけいこをしたりしていました。
あるとき、兵児侍のかしらがいいました。
「ここから五里先のお宮に、一晩でも泊って、もどった人がまだ一人もおらん。
おまえたちの中で、だれかそこに行く人はいないか。もし行ってぶじもどってきたら、おれたちの持っている刀や槍を全部その人に上げようと思うが、どうか。」
かしらの意見にはみんな賛成でしたが、だれも自分が行こうという人はおりません。
「だれかお宮に行く人はおらんか。」
かしらの声がひびきました。すると、兵児の中から、
「おれが行くが」
と名のりでたものがあります。見ると、兄と弟の二人です。
さて、兄弟はさっそく家にもどって、
「おっ母ん、おれたちが一日で食うだけのにぎりめしをつくってくれ」
とたのみました。
兄弟はにぎりめしを持ち、刀と弓矢を持って出かけました。
野を越え、川を渡り、お宮めざして行きました。
やがてお宮に着いたので、そこを一まわりしてみました。
ところが、
「あっ。」
思わずあとへさがりました。
草むらに人間の骨が真白になって横たわっています。
よく見ると、あっちにもこっちにもころがっているではありませんか。